日支両国に暗雲がただよっていた頃、竜子は関東軍の朝吹大将の訪問を受けた。朝吹は、竜子を日本・満州両国親善のために、満州皇帝の弟・溥哲の妃にと言うのだった。突然の話に驚く竜子にかまわず話は進められ、建国十年を迎えた満州国首都新京で中国風の結婚式が行われた。異郷に嫁いだ竜子は、慣れない風習と夫の兄・溥文らの冷い眼に苦しんだが、夫の溥哲の愛情に慰められた。子どもの英生が生れ、家庭に明るさがました。しかし、昭和二十年八月、ソ連の対日戦開始とともに平和の夢は破られた…。